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◎展覧会情報

3月17日(土)より、恵比寿のMA2 Galleryにて、僕が企画する展覧会「絵画のなかで/へ」が始まりました。
出品作家には、伊庭靖子さん、渡辺泰子さん、僕、そしてやや特殊な形で小説家の古川日出男さんを迎えています。
伊庭さんには普段は発表しない水彩画を11点(中には風景を描いたものも)と版画に彩色を施した作品を出品いただきました。
渡辺さんには、ドローイング3点とフェルトを成形した作品を出品いただことに加え、展示作業の大部分を恊働でおこないました。僕が普段展示する際に意識している重力のようなものを渡辺さんの助力で垂直方向に少し浮かすことができました。僕が初めて渡辺さんの姿を見たのは作品の設置をしているところでした。
僕は新作絵画3点に加え、壁画を描いています。
そして、古川さんと僕による一年前に発表した作品群を、前回とは全く違った形で展示しています。会場内には本人が言うところの「ゴースト」のように古川さんが漂っています。
プレスリリース内に4つのテキストを書いていますので、こちらも併せてご覧いただければ幸いです。
また、オープニングでは特別何もしなかったのですが、クロージングの際には出品作家が会する機会を設けたいと思っています。
4月8日(日)までの開催となっていますので、是非お立ち寄りください。
写真は近藤の出品作品「私とその状況(絵画のなかで/へ)」の部分。

現在発売中の月刊『美術手帖』2012年4月号にて、古川日出男さんとの恊働の誌上作品「その屋敷を覆う、覆す、覆う」が掲載されています。ちょうど一年前の『美術手帖(2011年4月号)』に掲載された「図説東方恐怖譚」と通低する世界観を持ちながらも、それをひっくり返すような内容になっています。
古川さんの二人称のテキストから始まる4篇を、僕の絵が囲むような構成になっています。本を手に取って、ページを繰る体験と共にご覧いただければと思います。
一年間の時間の流れが作品化されたような気持ちです。
写真は文字を書き入れ作業中の古川さん。
◎展覧会情報
「鴉、テレヴィ、犬」2012 岩絵具、水干、膠、墨、鳥の子紙、ペン/53×265cm/絵・近藤恵介 文字・古川日出男
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覆東方恐怖譚 古川日出男|近藤恵介
期間 2012年3月26日(月)- 4月22日(日)
会場 代官山 蔦屋書店
時間 朝7時 - 深夜2時(一部展示は朝9時より)
※代官山 蔦屋書店の営業時間にご覧いただけます。
料金 入場無料
協力:MA2 Gallery, Gallery Countach
press release
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関連イベント:「画四月早朝絵」
⽇時 2012年4⽉7⽇(土)朝7時 ~ 10時終了予定
内容 公開制作・トーク・サイン会
※早朝に実施のイベントとなります。お時間にご注意ください。
※サイン会のみ整理券が必要となります。
イベント当⽇日、先着50名様にサイン会整理券を配布します(整理券は御1⼈人1枚です)。
※サイン対象本はイベント当⽇日に、代官⼭山 蔦屋店でお買い上げ頂いた対象商品のみとなります。
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関連情報:
月刊『美術手帖』
2012年4月号(2012年3月17日発売)にて、4ページにわたる誌上作品「その屋敷を覆う、覆す、覆う」を掲載
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この度、代官山 蔦屋書店にて小説家・古川日出男(1966-)と画家・近藤恵介(1981-)による2人展「覆東方恐怖譚(ふく・とうほうきょうふたん)」を開催いたします。空間を⽂字で埋め尽くされた書店という環境で、文章と絵画の関係を様々な視点から捉え直します。
本展は、2011年3⽉月26日~4⽉16日に、ギャラリー・カウンタック清澄で開催された「絵東方恐怖譚(え・とうほうきょうふたん)」展の再解釈展でもあります。昨年3⽉月11⽇日に起こった東日本大震災の影響で展覧会は1週間の延期を余儀なくされました。また、奇しくも古川は福島県を故郷に持ち、震災後すぐに⾃分のできることを考え、これまで以上のペースで文章を書き続けています。古川は震災前とはいえ東方の地をテーマにした直接的に死を連想させる物語を書いたことに強い憤りを感じており、「東方恐怖譚」に付随するネガティブなイメージを「覆す」展覧会をつくり直したいという思いから、このプロジェクトが始動しました。新たなプロジェクトを立ち上げるに当たり古川は「覆東⽅恐怖譚」というタイトルを考えました。近藤もこの意図に同意し、否応なく巻き込まれた災厄に屈することなく、「絵東⽅恐怖譚」展の丁度1年後にあたる本年の3月26日(月)に向けてもう一度「東方恐怖譚」を組み⽴て直します。
出品される作品は全て本展のために制作された新作となります。まるで古川の⼩説に出て来るような広く入り組んだ書店内に点在する作品群を、地図を⽚手に携え周遊する体験とともに観賞いただきます。代官山 蔦屋書店のコンセプトでもある「文化のストレージ」と反響し合い、⽂学史と絵画史を⿃瞰するような視座を持った展覧会となることでしょう。
会期中には公開制作もおこなわれます。今まさに更新されていゆく展覧会のダイナミズムを体感いただければ幸いです。
◎展覧会情報

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絵画のなかで/へ
近藤恵介 伊庭靖子 渡辺泰子 | 古川日出男
2012年3月17日(土)- 4月8日(日)
月曜、火曜、祝日休廊 入場無料
会場:MA2 Gallery(東京)
渋谷区恵比寿3-3-8
tel:03-3444-1133
企画:近藤恵介
協力:GALLERY SIDE2
press release
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「絵画のなかで/へ」展に寄せて 近藤恵介
絵を描くという行為を、絵の具を支持体に接触させることから飛躍させて、絵筆を動かさずに描いたものを眺めるという時間までも含み込み、絵の周り(作業台であったり、部屋であったり)との関係を考慮し、さらには家やスタジオを出て絵を描くこととは直接的に関係しない様々な行為にまで連続させる。そして、このことを通して世界を知り、考える。これら一連のことすべてをひっくるめた状態が絵を描くということなのではないかと思います。絵を描くということから出発し、絵画的な状況に身を置きながら、絵画という場を押し広げ、行為のなかで見出された景色をそれぞれの作家が様々な方法で現出させたものが作品となるのです。そこは本当に様々なものを許容する場なのです。
展覧会のタイトルは作曲家・武満徹の『森のなかで』『海へ』という曲のタイトルから来ています。森のなかで考えたことや、海への指向性が曲になったものです。その、「森」の部分を「絵画」に置き換えて、「海へ」の「へ」を残し、ふたつを繋げたのが「絵画のなかで/へ」です。この2曲が収録されたアルバムを聴いていたことと、何となくイメージしていた企画プランとが解け合ってクリアなイメージを結び、今回の展覧会を実現するに至りました。また、『森のなかで』は3曲の小品からなっていて、その最初の曲は絵画からインスピレーションを得て作曲されたものです。
・LOVE FM(福岡)「The TIMES」 9月12日(月)9時30分頃予定
現在開催中の展覧会「小さい良い絵画 須藤由希子|近藤恵介」について話しました。コーヒーグループの曲もかかります。
TOM Gさん、ありがとうございました。
photo : 川村麻純
◎展覧会情報
この度、岡山のサテライトにて、画家・須藤由希子さんとの2人展を開催する運びとなりました。
新作7点に加え、須藤さんと共同で制作した作品も出品します。
また、本展にあたり、僕と須藤さんとがそれぞれテキストを書きました。展覧会と出品される作品のトーンが少しは伝わるかと思います。
近くにお越しの際は、是非お立ち寄りください。
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小さい良い絵画
須藤由希子|近藤恵介
2011年8月13日(土)- 9月26日(月)
火曜定休 入場無料
オープニング・レセプション:2011年8月13日(土) 17-19時
会場:Satellite(岡山)
〒700-0026 岡山市北区奉還町2-8-17
tel:086-250-2550
web:www.satelliteee.com
企画:Satellite
協力:Gallery Countach、TAKE NINAGAWA
press release
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「小さい良い絵画」展によせて、もしくは須藤さんとのこと 近藤恵介
須藤由希子さんと一緒に展覧会をすることになり、実際にお会いしたり、メールでのやり取りを通して、どのような展覧会にするのかに関するお互いの考えを交換し合いました。画家の友人のなかでも須藤さんとは割合付き合いも長く(6年くらいになるでしょうか)、これまでにもグループ展でご一緒したりと縁を保ちつつこれまできました。ですが、お互いの制作に対する姿勢やそれに付随することに関してはほとんど話した事がなく、今回初めてゆっくりと話す機会に恵まれ、いろいろと知らなかったことを知ることができました。
作家の言葉を聞いた後に作品を観ると印象がガラリと変わる事がしばしばありますが、須藤さんの絵に関してはこれ迄の見え方とほぼ変わりないように思います。というとやや語弊があって、変わりないというより、ちょっと文章にするのが難しいのですが、位相が変化し見え方が一変するようなことはなく、見え方が少し広がった、という印象です。もう少し言葉を費やすならば、例えば絵画を観賞するときは絵の前に任意の距離を置いて立ちます、そのときに一歩前に出たり後退したり左右に動いてみると見え方が少しずつ変化しますが、その行動範囲が少し広くなった、というような変化の具合です。非常に抽象的な説明で申し訳ないのですが、この表現が最も僕の感じた感覚に近いのです。
須藤さん自身の作品に関する言及は作品の説明にはなっていなくて、絵を描いているときの時間や身体の感覚で言葉を選び、それが今は会話になっているのですが、それと同じような感覚でもって絵を描いているのではないかと感じました。その場では絵としては表出しないけれど、あたかも新作の絵を描いている行程に立ち会ったかのような実感を得たのです。作家から自作についての話を聞くと、どうしても作品の説明や解説になりがちなのですが、須藤さんの場合そのような方向へは話が向かないのです。そんな時間を過ごしていると、なぜか妙に清々しい気がしました。
会話やメールにしばしば出てくる言葉として「いい絵/よい絵」 (僕は「いい」須藤さんは「よい」)があり、まるで共通語のように話していたのですが、よくよく考えると齟齬があったのではないかと思います。「いい絵」という表現は随分曖昧で、とても解釈の幅の広い言葉です。「いい絵」に含まれるニュアンスは特別ポジティブでもネガティブでもなく、割と平坦であるからこそ、頻繁に使われるのかもしれません。実は何も言っていないに等しい状態というか、何も始まっていないゼロ地点というか。どれほど意識してかは分かりませんが、僕は以上のような意味合いで使用していたと思います。それに対して、須藤さんの「よい絵」には明らかにポジティブなニュアンスが含まれていました。「よい絵」と思える作品を観て、その価値を直感で判断して、それらの思いをとりあえず「よい」という言葉に封じ込め自作に響かせる。画家の態度として非常に正しいのです。須藤さんがそのようなことを考えていたかは別にして。
須藤さんと話していて沸いてきた感慨は、「いい絵/よい絵」というような曖昧な言葉をとりあえず信じてそれを目指して楽しく絵を描く、という割とシンプルな動機で制作を進めても大丈夫なのではないか、という思いでした。おそらく僕もそのようなことを考えたりしていて、須藤さんとの会話の中から出てきた言葉によってこれ迄考えていたことが整理され、そういうことだったのか、と気付くに至ったということだと思います。僕の考えていたことと須藤さんの考えていたことのある部分が溶け合ってその場の会話のトーンをつくった訳ですから、そんな感じの展覧会になるのではないかと想像しています。
これから僕と須藤さんは、生活の中から時間を捻出し、臆することなく絵を描き、絵を描く困難さを乗り越え、何とか展覧会に漕ぎ着ける、ということを先の2ヶ月間続けるのです。
'11.5.30
5月1日(日)に東京都現代美術館で開催された冨井大裕さんとのワークショプ、無事終了しました。参加くださった方々、スタッフの皆さん、どうもありがとうございました。
切る、貼る、塗る、などの行為を通して、天平時代から現代を行き来しました。
つくられた作品群は現在現代美術館のエントランスに展示されています。企画展と併せてご覧下さい。