2017年8月8日火曜日

近藤恵介の「卓上の絵画」


 2017年8月より計4回のシリーズ展を開催します。



近藤恵介の「卓上の絵画」

画家・近藤恵介が2017年8月より計4回のシリーズ展にて、新作を発表します

会期:
秋 2017年8月18日(金)ー26日(土) 
冬 2018年1月(予定)
春 2018年4月(予定) 冨井大裕との共作
夏 2018年7月(予定)
*詳細なスケジュールなどは「卓上の絵画」のウェブサイトにてお知らせします

トークイベント:
近藤恵介×八柳サエ(横浜美術館主任学芸員/主任司書)
8月23日(水)18時ー19時半 参加費無料

オープニングレセプション:
8月23日(水)19時半ー 

会場:
MA2 Gallery
12:00-19:00 Closed on sun, mon & national holiday
渋谷区恵比寿3-3-8 03-3444-1133 ma2@ma2gallery.com

企画:近藤恵介 
リーフレットデザイン:戸塚泰雄(nu)

*旧所沢市立第2学校給食センター で開催の「引込線 2017」(8月26日-9月24日)でも「卓上の絵画」シリーズを発表します



近藤恵介の「卓上の絵画」

 描くことを重ねて、周辺をキョロキョロと見回して、そうしている間に描いた紙が風に飛ばされて、物干し竿にひっかかって、横にあった洗濯物といい具合に隣り合って、ハッとして、でもすぐにその奥の景色の方に目がいってしまって、作品のことをふと忘れてしまうようなあり方。

 12ヶ月間(2013年9月〜2014年8月)毎月新作を発表し続けたプロジェクト「12ヶ月のための絵画」がまず最初にある。これは、日々描いている絵を、描き継いでいる絵を、その時間の流れのなかでそのまま見せたいという思いから始まった。12ヶ月の期間にそれほど意味をもたせていたわけではないが、日本画の主題である「月次絵ーつきなみえ」に倣いそう決めた。12ヶ月間の経緯があって、最後にはすべての作品を並べた展覧会と本になった。

 「卓上の絵画」という言葉は、明治〜昭和の画家・鏑木清方の提唱した「卓上芸術」からとっている。清方の言う「卓上芸術」はその名の示すように卓上に置いて、手に取りながら楽しむ芸術のことを指す。画帖、巻子、口絵や挿絵などが作例だが、画集のようなマルチプルの刊行物も含む。このようなことを唱え出した背景には、当時の画家の作品発表の重立った舞台となっていた官展などの「会場芸術」に対する反動もあっただろうことが随筆などを読むとうかがえる。出自が新聞の挿絵画家であったことも関係しているだろう。
 「卓上芸術」の前段階に1919年頃から描き継がれた絵日記がある。発表するためではなく、個人の楽しみとして描かれたもの。時期ごとに冊子にまとめられて、それぞれにタイトルが付されている。連作であるので、絵と添えられた文章を読みながらページを繰ると、時間のうつろいが感じられると共に、清方の視線の流れが自分のものと重なってくる。

 ひとまず「卓上の絵画」とはしてみたものの、できてくる作品は卓上だけに乗るわけではないと思う。壁に寄りかかったり、うっかりどこかに引っかかるかもしれない。形式のことだけではなくて、どちらかというと、連作のように、日記的に、さほど大きくなく(見るものを威圧しないように、そしてなるべく機敏でいられるように)、というような部分を主に引き継ぐことになると思う。見ること、描くこと、そのことから生じる絵と絵と絵と絵と……その間、それらのことを横断しながら、常に動いているような状態で。
 それと、ぼくは普段の制作のときは、机の上に紙を平置きして描いているので、その意味でも、卓上(で描かれた)絵画、を先のことはあまり決めずに描き継ぐ。

 期間は「12ヶ月のための絵画」を引き継いで1年間で、その内訳は計4回の展示で構成される。ひとつの季節に、ひと繋がりの作品群。それぞれの展示期間はまちまちだが、そんなに長くはない。会場は恵比寿にあるMA2ギャラリーの1階部分を主に使う予定だ。
 3回目の展示は、彫刻家の冨井大裕さんとの共作になる。これは2010年に開催した展覧会「あっけない絵画、明快な彫刻」(ギャラリー・カウンタック清澄)以来、2度目。

 最後に、今手にしているこのリーフレットは折りのある仕様になっていて、開いて置くと衝立屏風のようになる。このドローイングの線が印刷されているマルチプルを最初の作品として卓上に立てることから、まずは始めてみようと思う。

近藤恵介

「ダンダンダン。タンタンタン。 近藤恵介・古川日出男」展 記録写真

2016年8-9月開催の2人展「ダンダンダン。タンタンタン。 近藤恵介・古川日出男」の記録写真です。

展覧会データ:
ダンダンダン。タンタンタン。 近藤恵介・古川日出男 

会期|2016年8月11日(木・祝)-9月3日(土) 
会場|LOKO GALLERY

展示風景



 
 作品画像(撮影:柳場大)