2017年12月20日水曜日

「 フルカワヒデオ、戯曲を読む!第二回「三島由紀夫『近代能楽集』を読む!」」の成果物など



 フルカワヒデオ、戯曲を読む!第二回「三島由紀夫『近代能楽集』を読む!」にはとても多くの方にお越しいただきました。ありがとうございました。

「夢幻能」の構造を用いて、三島由紀夫『近代能楽集』の中から、「邯鄲」→「卒塔婆小町」と夢の中で見る夢の形で進行して、最後に「弱法師」へ、そして再び「邯鄲」へ戻るという流れを、古川さんの書き下ろしたテキストで包むという構成でした。
また、読まれた文庫本のページはその都度1ページずつ裂かれて、犬(北村恵さん)から画家(近藤)の作業台へと渡されました。最終的には、その古川さんの口を経た文字(本のページ)は画家の絵画的な作業を経て舞台内舞台(彼岸=あの世としての)となり、そこから「紙のゴースト」が現出するという最後でした。

第三回は3月を予定しています。



個人的な備忘録として、準備段階で書いたアイデアのメモを断片的に。

・古川さんの口を経た文字(本のページ)を集める、ただ画家であるので描く行為も必要だ、が、ゴーストは見えづらいものとして扱いたい。ページを集めることと、絵を描くことを同時に、つまり、地と図が混交してひっくり返るような制作の方法はないか。

・今回の画家の役割を彼岸と此岸を橋渡しするようなものだと考えるときに、ページとページを繋ぎ、大地(彼岸)を出現させる役割を担うものは何か、それは糊ではないか。しかし糊は絵具ではない。その絵具ではないものに絵具の機能を付与したらどうなるか?繋ぐ行為と描く行為が一体となり、舞台内舞台=規定材をつくるとこがそのまま絵を描くことにもなる。そうやって、言葉のような形のないものをひとところに集めて、留めて、それが彼岸にも絵画にもなる。

・具体的な方法としては、炊いた糊(生麩糊)に染料なり顔料なりの色を混ぜる。その色の付いた糊で、破られたページを方形に継いでゆく。

2017年10月18日水曜日

フルカワヒデオ、戯曲を読む!

◎出演情報
小説家・古川日出男さんの朗読イベント、「フルカワヒデオ、戯曲を読む!」の第二回「三島由紀夫『近代能楽集』を読む!」に画家の立場で出演します。
女優の北村恵さんとご一緒できることも嬉しい。
三鷹SCOOLにて。

 
フルカワヒデオ、戯曲を読む!
第二回「三島由紀夫『近代能楽集』を読む!」

出演:
古川日出男(小説家/the coffee group)
北村恵(女優/ワワフラミンゴ)
近藤恵介(画家/the coffee group)

日程:11月23日(木・祝)18:00開演
料金:予約2,000円 当日2,500円(+1ドリンクオーダー)
会場:SCOOL(三鷹)

予約や詳細はこちら

2017年9月3日日曜日

引込線2017 リファレンスルーム

◎引込線2017

開催中の引込線2017、本会場近くのサテライト会場での企画“リファレンスルーム”に、「卓上の絵画」展のリーフレットをつくっていただいた戸塚泰雄さん(nu)との2010年からの全仕事を展示しています。
こうやって並べてみると、戸塚さんにはずっと並走してもらっていたんだなぁ、と改めて思い知ります。
サテライト会場は9/1-3の3日間のみのオープン。

展示のために書いたテキストと資料のリストです↓



デザイナー・戸塚泰雄(nu)による、画家・近藤恵介に関する印刷物 2010-2017

「引込線 2017」に出品している「卓上の絵画」シリーズの展覧会リーフレットを制作いただいたデザイナーの戸塚泰雄さん(nu)とは、2010年にthe coffee groupというユニット(※近藤は画家として参加)のCD『ワンコインからワンドリップ』(HEADZ)のパッケージデザインをお願いしたときに出会って以来、画家とデザイナーという関係で会話を重ねて、いくつもの印刷物をつくってきました。その経緯はお互いの現在の仕事にも反響しています。
2010年からこれまでの間につくられた本、DM、リーフレットやCDなどの紙の印刷物を辿ることで、今回近藤が出品している紙の作品を見る際のガイドに、あるいはぼくの作品が戸塚さんの仕事を知るためのガイドになるのではないかと思います。
近藤個人の、というより、近藤と戸塚さんの制作の経緯をここリファレンスルームで紹介します。

近藤恵介



展覧会 DM/リーフレット
・「近藤恵介の「卓上の絵画」」MA2ギャラリー、2017-2018
・「ダンダンダン。タンタンタン。 近藤恵介・古川日出男」LOKOギャラリー、2016
・「あっけない絵画、明快な彫刻 近藤恵介・冨井大裕<再展示>」川崎市市民ミュージアム、2013
・「12ヶ月のための絵画」MA2ギャラリー、2013
・「覆東方恐怖譚 近藤恵介・古川日出男」代官山蔦屋書店、2012
・「東方恐怖譚 近藤恵介|古川日出男」ギャラリーカウンタック清澄、2011
・「あっけない絵画、明快な彫刻 近藤恵介・冨井大裕」ギャラリーカウンタック清澄、2010

書籍
・『パンの人 仕事と人生』フィルムアート社、2017
・『フライヤーのデザイン ー人を集めるチラシのアイデア』BNN新社、2016
・『12ヶ月のための絵画』HeHe、2014

逐次刊行物
・『なnD 5』冨井大裕+近藤恵介(対談)「刈り込まれた木」、2017.3
・『なnD 4』近藤恵介「表紙からp.6のための作品(服をぬいでイスにかける)」「『女たち三百人の裏切りの書』の装幀のための近藤版《源氏物語絵巻》「東屋(一)」のこと」、2016.3
・『なnD 3』近藤恵介「『12ヶ月のための絵画』は振り返らない」、2015.2
・『なnD 2』近藤恵介「12ヶ月|聖家族|オースター」、2014.2
・『なnD 1』近藤恵介「近藤恵介・冨井大裕 あっけない絵画、明快な彫刻〈再展示〉」、2013.4

CD
・the coffee group『ワンコインからワンドリップ』HEADZ、2010

2017年9月1日金曜日

引込線 2017

◎展覧会情報


「引込線 2017 」に参加します。
ステンレスのテーブルを7台使って「卓上の絵画」シリーズを展示します。
また、9月10日(日)には、冨井大裕さんと「彫刻と絵画をめぐるワークショップ」を開催します。



引込線 2017

展覧会
会期:2017年8月26日(土)―9月24日(日)
休場日:火曜・水曜

開場時間:10:00―17:00 展覧会場:旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉県所沢市中富1862-1)
※本展会場は2階建ての廃工場です。床は段差や溝がありますので、くれぐれもご注意下さい。


参加美術作家:
伊藤誠、うしお、遠藤利克、大久保あり、大野綾子、川村元紀、構想計画所、近藤恵介、末永史尚、高嶋晋一+中川周、寺内曜子、戸田祥子、冨井大裕、中野浩二、二藤建人、blanClass、水谷一、箕輪亜希子、村田峰紀、吉川陽一郎(20名)


参加執筆者:
阿部真弓、荒川徹、粟田大輔、池野絢子、石川卓磨、上崎千、勝俣涼、柄沢祐輔、木原進、中尾拓哉、中島水緒、林卓行、前山裕司、松井勝正、峯村敏明、柳澤田実(16名) 



主催:引込線2017実行委員会

2017年8月8日火曜日

近藤恵介の「卓上の絵画」


 2017年8月より計4回のシリーズ展を開催します。



近藤恵介の「卓上の絵画」

画家・近藤恵介が2017年8月より計4回のシリーズ展にて、新作を発表します

会期:
秋 2017年8月18日(金)ー26日(土) 
冬 2018年1月(予定)
春 2018年4月(予定) 冨井大裕との共作
夏 2018年7月(予定)
*詳細なスケジュールなどは「卓上の絵画」のウェブサイトにてお知らせします

トークイベント:
近藤恵介×八柳サエ(横浜美術館主任学芸員/主任司書)
8月23日(水)18時ー19時半 参加費無料

オープニングレセプション:
8月23日(水)19時半ー 

会場:
MA2 Gallery
12:00-19:00 Closed on sun, mon & national holiday
渋谷区恵比寿3-3-8 03-3444-1133 ma2@ma2gallery.com

企画:近藤恵介 
リーフレットデザイン:戸塚泰雄(nu)

*旧所沢市立第2学校給食センター で開催の「引込線 2017」(8月26日-9月24日)でも「卓上の絵画」シリーズを発表します



近藤恵介の「卓上の絵画」

 描くことを重ねて、周辺をキョロキョロと見回して、そうしている間に描いた紙が風に飛ばされて、物干し竿にひっかかって、横にあった洗濯物といい具合に隣り合って、ハッとして、でもすぐにその奥の景色の方に目がいってしまって、作品のことをふと忘れてしまうようなあり方。

 12ヶ月間(2013年9月〜2014年8月)毎月新作を発表し続けたプロジェクト「12ヶ月のための絵画」がまず最初にある。これは、日々描いている絵を、描き継いでいる絵を、その時間の流れのなかでそのまま見せたいという思いから始まった。12ヶ月の期間にそれほど意味をもたせていたわけではないが、日本画の主題である「月次絵ーつきなみえ」に倣いそう決めた。12ヶ月間の経緯があって、最後にはすべての作品を並べた展覧会と本になった。

 「卓上の絵画」という言葉は、明治〜昭和の画家・鏑木清方の提唱した「卓上芸術」からとっている。清方の言う「卓上芸術」はその名の示すように卓上に置いて、手に取りながら楽しむ芸術のことを指す。画帖、巻子、口絵や挿絵などが作例だが、画集のようなマルチプルの刊行物も含む。このようなことを唱え出した背景には、当時の画家の作品発表の重立った舞台となっていた官展などの「会場芸術」に対する反動もあっただろうことが随筆などを読むとうかがえる。出自が新聞の挿絵画家であったことも関係しているだろう。
 「卓上芸術」の前段階に1919年頃から描き継がれた絵日記がある。発表するためではなく、個人の楽しみとして描かれたもの。時期ごとに冊子にまとめられて、それぞれにタイトルが付されている。連作であるので、絵と添えられた文章を読みながらページを繰ると、時間のうつろいが感じられると共に、清方の視線の流れが自分のものと重なってくる。

 ひとまず「卓上の絵画」とはしてみたものの、できてくる作品は卓上だけに乗るわけではないと思う。壁に寄りかかったり、うっかりどこかに引っかかるかもしれない。形式のことだけではなくて、どちらかというと、連作のように、日記的に、さほど大きくなく(見るものを威圧しないように、そしてなるべく機敏でいられるように)、というような部分を主に引き継ぐことになると思う。見ること、描くこと、そのことから生じる絵と絵と絵と絵と……その間、それらのことを横断しながら、常に動いているような状態で。
 それと、ぼくは普段の制作のときは、机の上に紙を平置きして描いているので、その意味でも、卓上(で描かれた)絵画、を先のことはあまり決めずに描き継ぐ。

 期間は「12ヶ月のための絵画」を引き継いで1年間で、その内訳は計4回の展示で構成される。ひとつの季節に、ひと繋がりの作品群。それぞれの展示期間はまちまちだが、そんなに長くはない。会場は恵比寿にあるMA2ギャラリーの1階部分を主に使う予定だ。
 3回目の展示は、彫刻家の冨井大裕さんとの共作になる。これは2010年に開催した展覧会「あっけない絵画、明快な彫刻」(ギャラリー・カウンタック清澄)以来、2度目。

 最後に、今手にしているこのリーフレットは折りのある仕様になっていて、開いて置くと衝立屏風のようになる。このドローイングの線が印刷されているマルチプルを最初の作品として卓上に立てることから、まずは始めてみようと思う。

近藤恵介

「ダンダンダン。タンタンタン。 近藤恵介・古川日出男」展 記録写真

2016年8-9月開催の2人展「ダンダンダン。タンタンタン。 近藤恵介・古川日出男」の記録写真です。

展覧会データ:
ダンダンダン。タンタンタン。 近藤恵介・古川日出男 

会期|2016年8月11日(木・祝)-9月3日(土) 
会場|LOKO GALLERY

展示風景



 
 作品画像(撮影:柳場大)














2017年5月23日火曜日

疾駆

◎雑誌掲載

発売中の雑誌「疾駆 8号」(YKG publishing)の「アーティストの皿」という見出しのコーナーに登場しています。
粥を食べながら、制作のことなどを話した楽しい夜でした。
凝った装幀と併せてご覧ください。


■ 雑誌:136ページ
■ 出版社: YKG publishing
■ 言語: 日本語
■ ISBN-13: 978-4-907966-10-2
■ 発売日:2017年4月20日
■ 価格:本体1,600円+税
■ 寸法: 20.4 x 13.2 x 1.9 cm


2017年4月5日水曜日

なnD 5|3月東京

◎雑誌掲載

彫刻家の冨井大裕さんとの対談が掲載されています。
冨井さんの「スケッチ」展の会場でした対話です。



なnD 5|3月東京
2017年4月5日発売 152頁 文庫サイズ 700円+税



2017年3月26日日曜日

パンの人 仕事と人生

◎単行本装画など

3月24日発売の本『パンの人 仕事と人生』(フィルムアート社)の装幀周り(カバー、帯、表紙、本扉など)に7点の絵を寄せています。いろいろな画材と方法で描いたパンが重なります。
デザインは戸塚泰雄さん(nu)です。これまでも展覧会の印刷物や作品集などをお願いしているのですが、その経緯なども下敷きにしつつ、やり取りを重ねて、静かにラディカルなこの形になりました。書店に並ぶとどのようにみえるでしょうか。
帯の細密画と、カバーのくるくると引いたペンの線画が隣り合う、これがやりたかった


・ 

『 パンの人 仕事と人生』

フィルムアート社=編
発売日:2017年03月24日
定価:1,600円+税

本の内容など、詳細はコチラ



2017年2月16日木曜日

ドローイングの線を何本も引くように話してみる


今週末18日(金)にマツモトアートセンターで「ドローイングの線を何本も引くように話してみる」というトークをします。
自作を中心に、ドローイングをするような気持ちで2時間ほど話します。
トークに向けてのテキストも書きました。




art cafe vol.62「ドローイングの線を何本も引くように話してみる」

日時:2月17日(金)19:00 - 21:00
会費:¥500(ドリンクつき)
場所:マツモトアートセンター 1階 Eアトリエ
電話での申し込み:0263-33-5511 


マツモトアートセンター



アーティストトークなどで人前で自作について話す場合、いろいろな方法があるのですが、やはり時々の会場の雰囲気や自分自身のコンディションなどもあって、そのときにしか話すことができないものになることが多いように思います。
今描いているもの、これから描くもの、これまでに描いてきたもの、その他にも様々なインプットがあって、常に散らかった周りの状態をどのように話すことができるのか。


今回は美術家の冨井大裕さんに紹介いただいて話をする機会を得たのですが、冨井さんは昨年12月に同じマツモトアートセンターでトークをしていて、そのwebサイト内のトーク主旨の一文に「話すことをつくることとして。」とありました。これしかないですよね!と強く同意をしつつ、場を引き継ぎ、その「つくること」の続きを描くように、そして散逸した自分の状態を、ドローイングの線を何本も引くように話してみようと思います。その線はぼくが引いたものだったり、他人(あるいは冨井さん)が引いた線の引用だったり、あるいは1000年前に引かれた線を参考にするかもしれません。ちょうど先週描き終えたのは《源氏物語絵巻 東屋一》の模写をベースにした作品でした。

近藤恵介(2017.1.27)