◎チラシ
チラシに短い論考「絵画の練習」を載せています。
デザインは戸塚泰雄(nu)さんです。
NEWS
◎チラシ
◎シンポジウム
シンポジウム「絵画の練習」
日時:2024年12月8日(日) 13:00-16:30
会場:佐賀大学 教養教育2号館 2101教室
対象:どなたでも
参加:無料
申し込み:不要 当日会場にお越しください
主催:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所
助成:日本学術振興会 科学研究費助成事業(課題番号 21K00213)
お問合せ:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所(b3klab@gmail.com)
発表者
石川卓磨(武蔵野美術大学)
今西彩子(鎌倉市鏑木清方記念美術館)
笹川修一(小林古径記念美術館)
佐藤美子(川崎市市民ミュージアム)
近藤恵介(佐賀大学)
司会
花田伸一(佐賀大学)
スケジュール
発表
13:00−13:10 挨拶 近藤恵介
13:10−13:40 今西彩子「鏑木清方の古画の研究 ~『新浮世絵講義』『風俗画技法』を手がかりに」
13:40−14:10 笹川修一「小林古径の素描-模写と写生」
14:10−14:40 佐藤美子「絵画の練習 安田靫彦の場合」
14:40−15:10 石川卓磨「絵画制作と時間をめぐって」
休憩
15:10−15:30
ディスカッション
15:30−16:30
概要
「絵画の練習」展の関連プログラムとして、シンポジウムを開催します。
このシンポジウムでは「絵画の練習」展がモチーフとしている、近代の日本画家たちによる素描に注目します。絵画を学ぶ際の有効な方法として——つまり絵画の「練習」として、写生や模写は古くより実践されてきました。対象を写すという極めて素朴な行為は、その素朴さゆえに多くの表現の基礎とされてきました。一方で、これらの方法は、今日の絵画制作の「練習」として、どのような役割を果たしうるのでしょうか?
「練習」を考えることは、制作のプロセスを考えることでもあります。およそ100年前の画家である、小林古径、安田靫彦、鏑木清方らの作例を頼りに、完成した作品を俯瞰して眺めるのみならず、その絵画の生成の過程をていねいに観察し、動的な視点で捉え直すことで、画面に折り畳まれた時間を展開することを試みます。安田靫彦の有名な言葉に「えらい芸術ほど多くの秘密を持っている」(「古画雑感—日本画とは何か—」1939年)というものがありますが、一筆ごとに逡巡し、選択を重ね、不安と高揚を繰り返しながら描き進める画家たちの営み——言い換えれば、画家の秘密の部分に肉薄することで、100年前の画家たちの営為の潜勢力を確かめ、翻って100年先を見通すことを目的とします。
◎個展
画家・近藤恵介(1981年−)が2017年8月より始めた連続展「近藤恵介の「卓上の絵画」」は、画家・鏑木清方(1878−1972年)が提唱した「卓上芸術」を下敷きに発想したものでした。本展「絵画の練習」では、2017年の「卓上の絵画」以来の作品を一堂に集め、さらに新作を加えて展観します。近代の日本画家たちの仕事を読み返し、写し、描き足し、配置し直してきたこの実践を、美術館での展示における絵と絵の一時的な結びつきとして示すことで、絵画が——より厳密に言えば、日本画や日本画家たちが、かつて知っていた、遠く忘れられてしまった手触りの部分を確かめようとするものです。
また、関連プログラムとしてシンポジウムを開催します。
《ひとときの絵画》2024 紙本彩色(4つの紙片) *中央:小林古径《扇面法華経冊子 模写》の模写(部分) |
近藤恵介「絵画の練習」
会期:2024年11⽉29⽇(⾦)−12⽉15⽇(⽇)
会場:佐賀大学美術館 1階
開館時間:10〜17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日
観覧料:無料
主催:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所
助成:日本学術振興会 科学研究費助成事業
*本展は、JSPC科研費基盤研究(C)課題番号 21K00213「鏑木清方「卓上芸術」を端緒とする、今日の絵画表現の可能性としての「卓上の絵画 」」の研究成果展として実施しています。
お問合せ:佐賀⼤学芸術地域デザイン学部 3号館絵画制作所(b3klab@gmail.com)
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イベント
ギャラリー・トーク
講師:近藤恵介
日時:12月7日(土) 14:00-14:30
会場:佐賀大学美術館 1階
対象:どなたでも
参加:無料
申し込み:不要 当日会場にお越しください
◎論文
昨年7〜10月にαMで開催した個展「さわれない手、100年前の声」を論文にまとめました。
論考、記録写真、資料などを交えながら、一年前の展覧会を跡付けます。
論考は主に、模写の創造性とか、潜勢力について書いています。
ところで、2017年くらいから、近代の日本画家(鏑木清方、安田靫彦、小林古径など)の仕事——主に、素描、模写を繰り返し見て、幾度もテキストを読み、そして絵(模写含む)を描いて……というサイクルを繰り返していて、いわば、同じところをグルグル周遊しているのですが、こうやって、同じところをなぞる感じが絵画制作における「模写」のあり方に近いのかな、と感じるようになりました。新しい場所に行くだけでなくて、同じ場所にとどまることの創造性や潜勢力があるのだ、というような。
◎雑誌装画・挿絵
装画・挿絵を担当した『ことばと』が発売になりました。順次、全国の書店に並びます。
2020年4月に創刊した『ことばと』ですが、この7号をもって第1期終了とのこと。デザイナーの戸塚泰雄さん(nu)と7冊作ってきましたが、そのときどきのテーマに応答して、あれこれ考えながら、毎号ギリギリまで制作を続けました。また、ぼく自身の作品制作を新しく展開させるきっかけにもなりました。
この最終号は創刊号と対のような関係にもなっているので、手元にある人は比べてみてください。
挿絵としては、大前粟生さん、町屋良平さんの作品に携帯とカーテンを描きました。その他にもいくつか。
分厚いです!
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文学ムック「ことばと」vol.7
定価:本体1,800 円+税
A5、並製、368 ページ
ISBN978-4-86385-600-4 C0495
編集長/佐々木敦
ロゴマーク/石黒正数
表紙・本文デザイン/戸塚泰雄
装画・挿絵/近藤恵介
◎展覧会(グループ展)
教員をしている佐賀大学の大学美術館が開館10周年とのことで、記念展に出品しています。
芸術地域デザイン学部のアーティスト(教員)と、他学部の研究者が連携することで、展示を作りました。
ぼくは哲学者の後藤正英さんとペアになりました。
ハンドアウトのために短いテキストを書いたので、転載します。
それと、9/17(日)に予定していた後藤さんとのトークですが、諸事情から延期になりましたのでお間違いなく。10/9(月・祝)になると思います。
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展覧会をきっかけに始まった交流は、絵画と哲学を間に挟み、継続的に対話を重ねるものになった。そのため、飛沫を飛ばし合うような直接性はなく、近くて遠い距離がいつもあった。交わす言葉、LINEの白と緑の吹き出し、ペンの筆跡と絵具の筆触、メールに添付する写真やテキストを、いつも少し遠くに投げた。絵画や哲学は、コミュニケーションの道具として優れているわけではなく、どちらかといえば日常的な交流を切断し、新たな繋ぎ方を発明するようなやっかいなものだ。ぼくと後藤さんの交流の今後は、いま作りつつある作品の成否にかかっている。
最後に、後藤さんに倣って、ぼくも引用する。
展覧会の画はいつもぎりぎりにしか描けません。毎日六時頃に起きてこのアトリエ通いです。*1
*1小林古径「庭の一隅」『小林古徑 作品と素描Ⅰ』1983年、光村図書出版、211頁における『美之国』1932年9月号の引用。
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佐賀大学美術館開館10周年記念展
「響きあうアート —美の拡がり、美術の拡がり—」
会場:佐賀大学美術館
会期:2023年9月9日(土)-10月22日(日)
場所:佐賀大学美術館
時間:10:00-17:00(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日 *祝日の場合翌火曜日休館
出品作家
柳健司(美術家)×橘基(物理学者)
土屋貴哉(美術家)×村久保雅孝(心理学者)
近藤恵介(画家)×後藤正英(哲学者)
阿部浩之(美術家)×藤村美穂(農村社会学者)
企画
花田伸一(キュレーター)
関連イベント
9月10日(日)「宇宙のはじまり、アートのはじまり」柳健司×橘基
9月17日(日) 近藤恵介×後藤正英 *10/9に延期
10月1日(日) 阿部浩之×藤村美穂
10月15日(日) 土屋貴哉×村久保雅孝
10月21日(土)「10年後の大学美術館に向けて」
◎展覧会(グループ展)
MA2ギャラリーでのグループ展です。
4名の参加作家で継続的に話し合いながら展覧会を作りました。
ぼくは過去作を読み換えるような作品のあり方を考えました。そして、これまでしてこなかったことを、今回の展覧会のテーマに引っ掛けて試みています。
また、4名の作家がそれぞれテキストを書いています。ぼくのテキストは下に転載します。
印刷物のデザインは林頌介さん。
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「そこ もの こと」
小瀬村真美 近藤恵介 髙柳恵里 松尾孝之
会場:MA2 GALLERY
会期:2023年8月4日(金)-9月2日(土)
日、月、祝日 休廊(火曜は事前メールアポイント制)
時間:13:00~18:00
*8月13日(日)-21日(月)は夏季休廊
オープニングトーク:8月4日(金)16:00-
アーティストトーク:
8月31日(木)15:00 小瀬村真美/16:30近藤恵介
9月2日(土)15:00髙柳恵里/ 16:30 松尾孝之
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近藤恵介
今回の展覧会のために制作する作品に関するコメントを書こうとするが、いつにも増して全然書けない。この書けなさは、なぜかというと、断片を寄せ集めて、ドローイング帖に文字とスケッチが対等な関係で混ざり合ったものとして記されている、部屋の隅に溜まったホコリのような作品プランはしっかりあるのだが、そのプランが、そのドローイングの散逸している状態が、好ましく思えていて、それを文章でなぞるように説明すると、 散逸した状態が整頓されるように思えてできないし、混乱したいいバランスからどのような作品ができるのかは、展覧会に来ればみることができる、としか言えない。 (2016.3.20)
以上は、2016年に参加したMA2ギャラリーでのグループ展「絵の旅」に際して書いた文章だ。ブツブツ途切れながら、ゆるやかに繋がる文章のあり方を、当時の作品制作の方法と重ねながら書いたことを読み返して思い出した。この7年間で世界もぼくも大きく変わったが、文章はそのまま、このたびの展覧会「そこ もの こと」のステートメントとして読み換えることができるように思われる。それは同時に、当時制作した作品を読み返し、読み換える可能性とパラレルかもしれない。(2023.7.6)